
健康診断の結果を受け取り、驚きや不安を感じている方も多いかと思います。しかし、半分以上の人が健診で何らかの異常(所見)を指摘されています。
一方で、「症状がないから大丈夫だろう」「忙しいから後で受診しよう」とそのまま放置してしまう方も少なくありません。ですが、高血圧や糖尿病、脂質異常症、肝機能障害などの生活習慣病は、初期には自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行してしまうことが特徴です。
また、健診結果の中には「すぐに治療が必要なのか」「まずは経過観察でよいのか」が分かりにくいものもあります。当院では、健診結果を丁寧に確認し、必要に応じて再検査や精密検査をご提案しています。
お手元の健診結果に記載された結果には、それぞれ以下のような意味があります。
A(異常なし): 現在のところ問題ありません。
B(軽度異常): 基準値をわずかに外れていますが、すぐに再検査などは不要なレベルです。生活習慣に注意しましょう。
C(要再検査・経過観察): 数値が一時的なものか確認するため、再度検査を行う必要があります。
D(要精密検査・要治療): より詳しい検査で原因を特定する必要がある、あるいはすでに治療が必要な段階です。
E(治療中): すでに治療を開始している項目です。継続して治療を受けてください。
特に「要精密検査」は、決して「すでに手遅れ」という意味ではありません。詳しく調べて病気を早期に見つけたり、あるいは異常がないことを確認したりするための大切なチャンスです。
健康診断で実施した検査を改めて行い、異常値が一時的な変化なのか、継続している異常なのかを確認するための検査です。
再検査は、「健診時だけ偶然数値が悪かったのか」を確認する目的で行われます。たとえば、本来は絶食で受ける採血にもかかわらず朝食を摂ってしまった場合や、前日の飲酒・食べ過ぎなどが影響して数値が変動することがあります。そのため、条件を整えたうえで同じ検査を再度行い、それでも異常が続く場合には、実際に異常が存在する可能性が高いと判断されます。
健康診断よりも詳しい検査を追加で行い、異常の原因となっている病気の有無や、治療が必要な状態かどうかを調べる検査です。
精密検査は、健診で見つかった異常について「なぜその異常が起きているのか」を詳しく調べるために行われます。例えば、胸部レントゲンで肺に影が見つかった場合、何らかの異常が疑われますが、影の正体まではレントゲンだけでは判断できません。そのため、単純に同じレントゲン検査を繰り返すのではなく、より詳細に確認できるCT検査などを追加して原因を特定していきます。
健診で特に指摘されやすい項目について、そのリスクと対応をまとめました。
緊張で一時的に高くなることもありますが、放置すると動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞の原因となります。受診時には、リラックスした状態で測定した「家庭血圧」の記録を持参いただくと、より正確な診断が可能です。
A. 健診時の緊張によって一時的に高くなる「白衣高血圧」の場合もあります。ただし、本当に高血圧が隠れているケースもあるため、家庭血圧で確認することが大切です。
A. 起床後1時間以内と就寝前の1日2回、座って1〜2分安静にしてから測定するのが理想です。
最も多くの方が指摘される項目です。自覚症状は全くありませんが、悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪が高い状態が続くと動脈硬化が進行します。特にLDLが140mg/dL以上の場合は、精密検査が望ましいです。
A. 過剰なコレステロースが酸化されると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まります。
A. 軽度の異常であれば改善することもありますが、体質や遺伝の影響が強い場合は薬物治療が必要になることもあります。
血糖値やHbA1cが高い状態は、糖尿病への入り口です。放置すると、視力障害(網膜症)、腎不全、神経障害、心筋梗塞・脳卒中、歯周病、感染症などの重大な合併症を引き起こす恐れがあります。症状がない初期のうちに対策を始めることが肝心です。
A. 過去1〜2か月程度の平均的な血糖状態を反映する指標で、糖尿病の診断や治療評価に用いられます。ただし、1日の血糖値の変動は反映されません。
A. 初期段階では症状がほとんどないため、軽度の異常でも早めの受診をおすすめします。HbA1cがそれほど高くなくても食後血糖値が高い場合、合併症は進行するおそれがあるので、食事のとり方の工夫が必要です。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、かなりのダメージを受けるまで自覚症状が出ません。原因は肥満による脂肪肝のほか、アルコール、ウイルス性肝炎など多岐にわたります。超音波検査(エコー)などで詳しく調べることが推奨されます。
A. はい。近年は肥満や糖尿病に関連した「脂肪肝」が増えており、お酒を飲まない方でも異常が出ることがあります。
A. 飲酒習慣の影響だけでなく、脂肪肝や胆道系の病気が隠れている場合もあるため、継続する場合は精査が必要です。
尿蛋白は腎臓病の非常に重要なサインです。放置すると慢性腎臓病(CKD)から透析治療が必要になるケースもあります。早期に発見できれば、進行を食い止めることが可能です。
A. 病的ではないこともありますが、高血圧や糖尿病による腎障害、その他腎臓病が隠れている場合もあるため、再検査をおすすめします。
A. 腎臓が老廃物をろ過する力が低下している状態を示します。数値が低いほど腎機能低下が進んでいる可能性があります。
不整脈や心筋虚血(狭心症など)、心臓の弁の異常(弁膜症)などが疑われます。緊急を要するものから、経過観察で良いものまで様々ですので、専門医による評価を受けてください。
A. はい。心電図異常の中には、自覚症状がなくても重篤な病気が隠れている場合があります。
A. 心臓の血流が乱れることで聞こえる音で、弁膜症や先天性心疾患などが原因となることがあります。
鉄分不足だけでなく、消化管(胃や大腸)からの慢性的な出血が原因で数値が下がっていることがあります。特に40歳以上の方は、隠れた病気がないか確認が必要です。
A. めまい、息切れ、動悸、疲れやすさなどが代表的ですが、軽度な場合、慢性的な場合では無自覚のこともあります。
A. 鉄欠乏性貧血であれば徐々に改善が期待できますが、数カ月以上継続を要する事が多いです。原因によっては消化器の検査など追加の精査が必要になる場合があります。
受診を迷っている間にも病気が進行してしまうのが一番のリスクです。「強い薬を即座に始められるのでは?」という不安もあるかもしれませんが、まずは「現状を正しく知る」ことから始めましょう。
ご相談: 健診結果をそのままお持ちください。紹介状はなくても構いません。
二次検査の実施: 必要に応じて、再度の採血、心エコー、頸動脈エコー、腹部エコーなどの追加検査をおすすめ実施します。
方針の決定: 検査結果に基づき、まずは生活習慣の改善で様子を見るのか、治療が必要なのかを一緒に考えていきます。
「まだ症状がないから大丈夫」ではなく、症状がない今だからこそできることがあります。 ご自身の、そして大切なご家族の将来のために、健診結果を放置せずにお気軽にご相談ください。